« iOS8.2 | トップページ | ジャン・ボベロ『世界のなかのライシテ』 »

2015年3月12日 (木)

ジャン・ボベロ『フランスにおけるライシテ(脱宗教性)の歴史』

【読書記録】ジャン・ボベロ『フランスにおけるライシテ(脱宗教性)の歴史』三浦信孝/伊達聖伸訳(クセジュ文庫、白水社)

現在のフランス憲法は第一条から「ライック」という言葉が出てくる。
《La France est une République indivisible, laïque, démocratique et sociale.》
(フランスはライックで、民主的または社会的な不可分の共和国である。)

この「ライック」は「脱宗教的」と訳されるけれど、何度聴いてもなかなかピンとこない。先日、雑誌「ふらんす」のシャルリ・エブト事件についての論考を読んだ時にも、「ライシテ laïcité」についての歴史的な知識がほとんどないことを痛感した。で、これじゃいかんとこのクセジュ文庫の一冊を読み始めた次第。
「ライシテとは、国家や公立学校などの公共空間における宗教に対する中立性のことである。本書は、フランス革命期から、1905年の政教分離令、2004年の宗教的標識禁止法「いわゆるスカーフ禁止法)の成立を経てきたフランスの脱宗教化の道のりをたどる。ライシテ研究の第一人者による解説書」(カバー裏の紹介文)

たとえば、かつて、フランスの初等教育の主な担い手はカトリック教会だった。しかし、フランス革命以後は、国家が教育の主導権を奪おうとして教会と激しく争う。ライシテに基づく道徳の教科書はローマ教皇庁からは禁書に指定される一方、政府は学校の授業で宗教教育を行うのを禁止する。教会は激しく反発し、妥協する形で、学校は毎週水曜日は授業をせず、両親の希望に従ってカテキズム(公教要理)の授業に通えるようにする。(このため現在でもフランスの公立校は水曜日は休みである。)この抗争は19世紀を通じて延々と続き、フランスで「義務教育」が導入されるのは、他の欧米諸国や日本よりも遅くなってしまう...などなど。戸籍と結婚、医療、あるいは女性の参政権などでも「2つのフランス」は激しくせめぎあう。

近代のフランス小説を読んでいるとき、このライシテに関わる部分はほとんど注意を払ってこなかったことに今になって気がつく。今度、読む時は念頭に置いておこう。

訳者あとがきによれば、著者のジャン・ボベロJean Baubérotは1941年生まれの宗教社会学者。フランス国立高等研究院(ロラン・バルトやレヴィ=ストロースも教えていたところですね)でプロテスタンティズムやライシテの歴史を講じ、後に院長も務める。ライシテ研究の第一人者として、シラク大統領の時にはライシテの具体的運用にかかわる提言を行う政府の委員会の一員にも就任しているらしい。

原題:Jean Baubérot Histoire de la laïcité en France (Collection QUE SAIS-JE? No3571)

続けて、去年同じクセジュ文庫から翻訳の出たこの著者の『世界のなかのライシテ』も読み始める。ちょこっと日本についての言及もある。それはまた後日。


Photo


« iOS8.2 | トップページ | ジャン・ボベロ『世界のなかのライシテ』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« iOS8.2 | トップページ | ジャン・ボベロ『世界のなかのライシテ』 »

2015年3月

1
Photo_4
2
Photo_2
3
4
5
Photo
6
Tokyosuica
7
Photo_3
8
3
9
10
Photo
11
82
12
Photo
13
14
Photo
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
       

twitter