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2015年2月21日 (土)

池内恵『現代アラブの社会思想 終末論とイスラーム主義』

池内恵『現代アラブの社会思想 終末論とイスラーム主義』 講談社現代新書、2002年

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《アラブ世界が不本意な歴史の展開の過程で行き着いた思想的袋小路を描くのは 、筆者にとって非常な苦痛だった 。しかし世界各地で生成するさまざまな 、時に不穏な思いを理解しておかなければ身の安全すら守れない時代が来たのだと思う 。現代は文化的に隔絶した他者がすぐ隣にいる時代である 。他者とはもう自己の願望をロマンチックに投影する対象ではなくなってしまった 。その等身大の姿を見つめ 、対話の糸口を何とか見つけていかなければならない 、そんな時代なのだろう 。》(筆者「あとがき」から)
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 先月はピケティだったけど、今月はイスラームの本を中心に廻っているような読書記録。そのきっかけをつくってくれた池内恵氏の13年前の本がKindle化されていたのでよんでみた。9.11の衝撃を受けて出版された数多くの書籍のひとつとも言えるかもしれないが、当時の私はこの本には気がつかなかった。でも、いま読んでも古びてなくて、この本で紹介されているアラブ世界の混迷と知的状況の閉塞化は、その後もいっそう深刻になっているのだろう。「イスラーム国」が出てきた背景も少しずつリアルに感じられてきた。

 この本の前半は、「1967」の衝撃、すなわちイスラエルとの「六日間戦争」での敗北を契機として、それまでアラブの知識人を方向づけていた「アラブ民族社会主義」とその唱導者ナセルの威厳が失墜し、より急進的なマルクス主義へと向かう流れと、宗教に回帰してイスラーム主義へと向かう流れとに分極化していくようすを概観している。

 後半は、90年代以降にアラブ世界において流行する終末論とイスラーム教の関わりについての興味深い考察。陰謀史観とオカルト思想の合流も含めて「ヤバいなぁこれ」と思う事例がてんこ盛りだった。初めて知ることばかりだったが、何か既視感があったのはオウム事件の時に少し似たようなものをいろいろ見聞きしたからだろう。


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