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2015年1月29日 (木)

『トマ・ピケティの新・資本論』

日経BP社から刊行されたばかりの『トマ・ピケティの新・資本論』を読み終える。フランスの日刊紙『リベラシオン』に2004年から2012年まで月に一回連載されていた時評をまとめた"PEUT-ON SAUVER L'EUROPE ?"(『我々はヨーロッパを守ることができるか?』)をもとに、それ以降の2014年6月までの記事を増補した形になっている。

『21世紀の資本』を読み終えた後の整理体操のようなつもりで読みはじめた。たしかにその大著を反芻し、その論点が日々世界で生起する具体的な事象といかなる関係にあるかを確認するいい機会となった。世襲資本主義を批判し、累進課税の導入による富の不平等の是正を主張する経済学者としてのピケティの立場は一貫している。途中から2007年のリーマンショックに始まるグローバル金融危機への言及が多くなるのだが、ピケティが取り上げる税や年金、教育などフランスの抱える問題が日本とよく似ていることに改めて驚かされた。

で、この本の最後の記事「不平等の火薬庫」(2014年6月17日)では、あのISIL(フランス語の原文ではEIIL)が勢力を拡大している背景について論じられていた。《データ収集に関する最小限の条件をいくつか設ければ、中東の所得の不平等は、従来最も不平等とされてきた国(アメリカ、ブラジル、サハラ以南のアフリカなど)よりも甚だしいという結論を容易に導き出すことができる。》(P.409)この《おそらくは世界で最も不平等》な現実が変わらなければ、ISがなくなっても根本的な解決は望めないだろう。

(追記)
『リベラシオン』紙は1968年の「五月革命」の熱狂を受けつぐ形で、1973年にジャン=ポール・サルトルらによって創刊された左派系の日刊紙で、中立系の『ル・モンド』、保守系の『フィガロ』に次ぐ第3位。でも慢性的な経営不振に陥っており、発行部数は10万程度に落ち込んで、現在は何人かの大金持ちたちが株式を所有しているらしい。ピケティは、その大株主のひとりを「タックスヘイブンの愛用者」と決めつけて、実名で容赦無い批判を行っている。

リベラシオン紙上のピケティのサイトはここです。


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