« あの粉は | トップページ | 21世紀の資本 おわりに »

2015年1月23日 (金)

21世紀の資本 第16章 公的債務の問題

【ピケティ本 第16章】 「公的債務の問題」 

NHKで毎週金曜夜に放送しているピケティの白熱授業を、今晩初めてみた。(第3夜)ピケティ先生、腕の動かし方がとてもチャーミングですね。吹き替えじゃなくて字幕にしてくれたらその肉声がもっとよく聞こえるのに、とも思った。(あれ、リモコン操作すればできるのかな)

で、遅くなりましたが、ピケティ本の最終章のメモ、いきます。

その最初の問題は、先進国平均でGDPの90%ほど(日本は231.9%!)まで膨れ上がってしまった公的債務を大幅に減らすにはどうすればいいかについての考察。先進諸国では政府が借金漬けであるのに対し、民間部門では空前の規模で資本が蓄積されている。ならば、考えられる方法は資本税、インフレ、そして緊縮財政の3つ。それを各種の比率で組み合わせることもできる。

(1)ピケティによれば資本税が最善。もし15%の固定税率で民間資本に課税したら1年で国民所得に近い額、つまり公的債務残高のすべて(日本では半分弱だけど)が得られ借金は消える。それはやりすぎだとしても、民間資本に対する一時的な累進課税が最も透明性が高く公正で効率的である。10年といった時限を切った資本に対する累進課税など、各種の提案もなされている。もっとも、そのためには税務当局は住民の保有しているすべての金融資産を自動的、恒常的に把握できていなければならない。

(2)資本課税が困難ならば、インフレは次善の策。インフレ率が少しでも上がると、公的債務の実質価値は大幅に減る。歴史的には20世紀のヨーロッパ諸国の最も大規模な公的債務はインフレで削減されてきた。しかし、インフレは制御がむずかしく、予想外の結果が生じる可能性もある。ドイツはかつて年間で一億倍の物価上昇を経験したことがあり(1923年)、この一件が「永遠のトラウマ」になっている。

(3)緊縮財政は最悪の手段。19世紀のイギリスは、ナポレオン戦争から繰り越された巨額の公的債務を始末するために100年近くの緊縮財政(プライマリー・バランスの黒字)を強いられたが、この期間のイギリス納税者たちは、教育よりも利払に多くのお金をかけてしまった。しかしながら、今現在のヨーロッパはこの手法を使っている。

要点をまとめるつもりが、あれこれ付け加えているうちに最初の問題だけで長くなってしまった。そうこうしているうちに、ここ数日間に2%の物価目標を事実上撤回した日銀の黒田総裁の会見や、量的緩和へ大きくかじを切ったECBのドラキ総裁の発言などのニュースなどが続いて、この章の残りで取り扱われている中央銀行の役割や欧州の金融危機への対応、ユーロや欧州統合のゆくえなどの話題と絶妙なシンクロが生じてしまっている。おもしろいけど、まとめきれない.笑

で、そのまさに現在進行中のナマな事象との関連部分は、また後日に機会があれば(あるのか?)触れることにして、ピケティが経済学者としての、あるいは経済学者である前に民主主義者としての信念を語っている最終節「経済的透明性と資本の民主的コントロール」(p.599〜p.600)から、いくつか引用したい。

《もっと一般的には、今後最も重要な問題のひとつは、財産の新しい形態や、資本への新たな民主的コントロール形態を開発することだ。》

《本質的な点は、こうした資本の民主的統制の各種形態を大きく左右するのは、参加者それぞれへの経済情報の提供だということだ。経済と金融の透明性は、たしかに課税目的でも重要だが、はるかに一般的な理由からも重要だ。そうした透明性は民主的なガバナンスや参加に不可欠なのだ。》

《本当の会計財務的な透明性と情報共有なくして、経済的民主主義などあり得ない。逆に、企業の意思決定に介入する本当の権利(会社の重役会議に労働者の座席を用意するのも含む)なしには、透明性は役に立たない。》

《情報は民主主義制度を支援するものでなければならない。それ自体は目的ではない。民主主義がいつの日か資本主義のコントロールを取り戻すためには、まずは民主主義と資本主義を宿す具体的な制度が何度も再発明される必要があることを認識しなくてはならないのだ。》

やっぱりルソーの国の経済学者だなぁ、としみじみ思う。

これで邦訳で600ページに及ぶ『21世紀の資本』を読み終えたのだけど、あともう少し、「おわりに」が残っていた。そこでは、ピケティの経済学に対する率直な思いも語られていました。それは、またのちほど。

Photo_10


« あの粉は | トップページ | 21世紀の資本 おわりに »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« あの粉は | トップページ | 21世紀の資本 おわりに »

2015年3月

1
Photo_4
2
Photo_2
3
4
5
Photo
6
Tokyosuica
7
Photo_3
8
3
9
10
Photo
11
82
12
Photo
13
14
Photo
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
       

twitter