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2015年1月19日 (月)

21世紀の資本 第15章 世界的な資本税

(ふう、最後から2番めの章まできました。)

21世紀のグローバル化した世襲資本主義、この拡大に歯止めをかけ、果てしのない不平等のスパイラルを避けるためにどうすればいいのか。「社会国家」と「累進所得税」の役割が重要であることはすでに検討された。ピケティはその2つに加えて「資本に対する世界的な累進課税」という新しいアイデアを示す。現時点で世界各国がこんな空想的な発想に同意するはずもないが、と断りつつ、ピケティが提起した構想を以下に箇条書きでまとめてみる。

(1)世界的な資本税とは、世界の富(不動産、金融資産、事業資産などあらゆる種類の資産すべて)に対する累進的な年次の課税である。

(2)資本税の主要の目的は、社会国家の財源をまかなうことではなく、資本主義を規制することである。すなわち、富の格差の果てしない拡大を止め、危機の発生を避けるために金融と銀行のシステムに対して有効な規制をかけることだ。

(3)この目的を果たすためには、資本税は民主主義的、金融的な透明性を促進しなければならない。誰が世界中でどんな資産を持っているかが明確にならなければならない。

(4)タックス・ヘイブンに隠された資産の量は誰も把握できていない。自由貿易と経済統合でお金持ちになった個人が、隣人たちを犠牲にして利潤をかき集めるなどというのは窃盗以外の何物でもない。各国政府と国際機関が協力して強力に規制すべきだ。

(5)資本税の設計者たちは、どんな税率表が適切で、課税対象資産の価値はどう評価され、資産所有者についての情報がどうやって銀行から自動的に提供され、国際的に共有されるかについて考えねばならない。

「それは窃盗以外の何物でもない」ーーいつもは穏やかなピケティ先生が、タックスヘイブンについて述べているところでは珍しく激しい言葉を使っていた。もちろん、より具体的な事実や個人名はいくらでも知っているはずだろう。(フランスの某大富豪については何度も固有名詞で出てくるが…)

ここまで読んでくれば自明のことだが、ピケティの主張は、反資本主義でも反グローバリズムでも社会主義でもない。法と良識、あるいは社会的正義と効用に基づいて、つまり人間社会の叡智によって資本主義の暴走をコントロールすべきであると言っているのであり、そのあたりがリーマン・ショック後の「強欲資本主義」への批判にも呼応して、アメリカでもベストセラーになっている理由なのかな。

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